国鉄 ED18(飯田線晩年仕様)
模型化協力 JR東海
ED18について
1920年代世界の電気機関車はスイス・アメリカ・ドイツが一歩先んじておりイギリスは世界最高水準にあった蒸気機関車の全盛期で一部小型機をのぞいてはほとんど電気機関車は使用されておりませんでした。大正末期に輸入された電気機関車の中でWH、GE、BBC等を蹴落とし大量36輌も揃えられたのが最も性能が悪かったイングリッシュ・エレクトリック〜 ノースブリティッシュ製 通称"ディッカー"。さすがアングロ・サクソン、日英外交交渉の落とし子の面々です。 しかし欠陥故障が多くまともに走らなかったこれらの機関車と格闘する事が当時日本の技術陣にまたとない学習経験を積ませることとなり誠に災い転じて福となる如し。輸入してから数年後には内部機器はほとんど国産品に取り換わってしまいました。 貨物機としてED13(1030)×2が1924年に到着。ディッカー製の中でこの形式のみNBLでの工場がアトラス・パーク製となっており他のハイドパーク製と比べ車体断面が大きく豪快な印象を受けます。ED13を称して地味で有るとか陰が薄いとの論評は明らかに大きな誤りであると断言できます。後年ED17−27、28として仙山線でいかめしいスタイルでの活躍は実に魅力的なものがあります。1923年から25年にかけて17輌が輸入されたED50は1931年4月の中央線甲府電化により東海道線より中央線に移った際ギヤー比を改め貨物用に改造。有名なED17形の誕生となった。1924年に高速旅客用として輸入されたED52(6003〜6008)はED50と手摺り位置、エンドビーム形状、担いバネの枚数等が形態的に異なるのみで4輌がED18Tに改造され新宿、八王子間で貨物用として活躍。2輌はED52のままED51、ED56等と同じく新宿〜八王子間の旅客列車牽引に活躍。後にED17形に編入された。ED51(6000〜6002)は横浜での荷上げ中に関東大震災にみまわれ海中に転落。イギリスに戻して再製作された機関車。デッキ付、左右非対称と独特の魅力を有するものとなった。戦時中にED17にやはり編入された。1924〜25年製8輌のEF50は東海道線電化初期の女王的存在でEF53の登場、丹那トンネル完成前後まで特急、急行牽引に大活躍した。EHクラスを除くと21000mmと最長最大クラスの機関車で本家イギリスでも例の無いものであった。今回のED18、正確にはED18Uは老朽化した買収電機に換わり軸重制限の大きい飯田線での使用のため1955年ED17の台車をAo1Ao+Ao1Aoと独特の軸配置を持つHT62に新製履き替えて誕生した形式。輌数は3。1,2号機は旧ED50形のED17−17、ED17−16より改造、3号機は旧ED52のED18Tの3号機がED17に編入されずにおり同番号で改造されている。直ぐに飯田線、豊橋に配置。一時西国立支区へ移動したが中部天竜支区に戻り更に晩年は伊那松島機関区に在り辰野〜飯田間で貨物列車牽引に活躍して人気を集めた。廃車は1976年。2号機は浜松工場で移動機として使用された後現存はJR東海の手で見事に復活を遂げ古巣の飯田線で活躍中です。なお1号機はED17−17時代にベンチレーターが横一列増設され4段になっております。 当社ではED57、ED54と特異な形態の輸入電気機関車をプロトタイプに手がけてきましたが、いよいよ電関ファンなら誰でもご存知"ディッカー"シリーズに着手致しました。その第一弾が今回発売のED18です。豊橋での保存機完全取材等により今まで数多く模型化されて来た上でのディッカーのイメージを完全に払拭すると共にさながら"イギリスの頑固一徹老将軍"と云う趣きを再現しております。省型F級機もその迫力に比負けするほどの仕上がりとなりました。車高、車巾はスケール通りに押さえておりその中でR450、Sカ―ブR550も通過致します。ギャーボックスはこの形式の為に新規にダイキャストの型を起こしたもので非常にスムース、静寂な走行を可能としております。台車はワイヤーカットで仕上げた上に全てのパーツを別に取り付けた労作でロストワックスでは得られない正確でシャープな印象を与えてくれます。当然遊輪も含めて全軸軸箱可動致します。
1号機と2号機で下記の違いを正確に再現しました。
◆ 車体側面 運転室側窓ふちリベット付(1号機) 無し(2号機)。 サイドベンチレーター 1号機 4段 2号機 3段。
◆ 前面 細部ディテールエッチングパターン、ドアの形状の違い作り分け。
◆ 屋上 各パイピング引き廻しの違い、信号煙管形状の違い。手摺り、エッチング パターンの作り分け。
◆ エンドビーム テールライト周囲リベット無し(1号機) リベット付(2号機)。
◆ フレーム 2号機には電気配管パイピング追加。
◆ 台車 台車側面先端部形状の違い作り分け、スピードメーター取付軸の違い。