国鉄 EF50

EF50について    

 大正末期に海外より輸入された数多くの電気機関車の中、F級機はEF50(EE−NBL)、EF51(WH−BLW)の2形式。全8輌のEF50は輸入機中唯一2CC2の軸配置に1400mmの大動輪、9つの穴を有する魚腹型台枠、造形的にも美しい堂々としたデッキ。スラリと伸びた21mの長躯、古い言葉で申し訳けありませんが陸の戦艦と形容された故も良く理解できます。生まれ故郷のイギリス本国でもこれ程大きな電機機関車は存在せず長くEE社のカタログを飾っていたそうです。電気的欠陥も同じEE製のEDクラス級程深刻ではなく改良の手が加えられ直ぐ東海道線において活躍を始めております。1925年12月(大正14年)の東海道線東京口電気運転開始時より使用され、昭和に入ってからの鋼製客車の増加及び長編成化によりF級機としてのパワーも充分活かされ1400mm動輪故の高速性能、数もまとまっていた為丹那トンネル開通前後までの東海道線において木造20m級客車による1,2列車、昭和5年よりの「富士」「さくら」等の特急、急行の牽引機として大活躍致しました。当時の東海道線電化状況は1925年12月の時点では東京〜国府津間及び大船〜横須賀間。翌年2月には小田原延伸。そして1934年12月の丹那トンネル開通により沼津まで電化が延長されています。  1989年のED12に始まり13年目にして遂にF級旧型電気機関車の模型化が実現の運びとなりました。この間昨年7月発売のED13を始めとして派出さはありませんがいぶし銀のような光沢を放つ実にデリケートなプロトタイプのED輸入電関をコツコツと発表して来た訳です。 またこれらの面々と組み合わせるべくこれまた渋い大正生まれの客車、貨車の製作にも着手。昨年はホハ12000系、木造ワム、トム等を発売。輸入電関が最も輝いていた時代の活躍ぶりを模型として忠実に再現出来る扉を開くことが出来ました。ただ単にEF50と云う機関車のみならず後に牽引される客車列車も視野に入れてのプロジェクトです。

EF50の三つのバージョン分けとそのコンセプトは以下に述べる通りです。

@ Type1 原型タイプ 原型と云っても形式称号改正の昭和3年前後から丹那トンネル開通前くらいまでの時期のEF50。8000のナンバーを付けても問題ありません(交友社刊 高田隆雄写真集 追憶の汽車電車には昭和2年の8000の写真が撮られております)。 輸入時とは ランボード取付、ベンチレーター4段化、デッキ上重連用ジャンパー栓の撤去等の変化があります。軸箱はEEの原型、屋上モニターも原型を保っており真空ホースが装着されています。昭和5年以前の木展入り1、2列車。以後の特急「富士」「さくら」編成や急行等を牽引して豪快に走行する様を再現致します。東京機関庫及び国府津庫。

A Type2 改造後タイプ 丹那トンネル開通前後以降のスタイル。西尾克三郎氏撮影の1、8号機当りがプロトタイプ。この頃はヘッドライトが同じく西尾氏撮影の5号機の様に省型LP42に交換されている番号もありますが原形ヘッドライトのタイプで行きます。モニター屋根は改造され軸箱は省型に交換、真空ホース撤去、母線ジャンパーの取付が行われております。 ナハ22000、オハ32000、スハ32600系ダブルルーフ車入り混じれての湘南列車牽引風景の再現。東京機関庫及び国府津庫。

B Type3 戦後タイプ 戦後EF50は大きく改造されております。デッキステップと手スリの取付変化、パンタグラフPS14化、軸箱国鉄タイプ交換、ヘッドライトLP42化、キャブ側窓水切りり形状変化その後の窓ガラスニ分割化等。また1台車ひとつだったブレーキ・シリンダーをふたつに増設したものや第2、第3及び第4、第5動輪の荷受け下にイコライザーが追加されたものがあります。 有名なEF58 4号機その新旧クィーン揃い踏みで有名な7号機等がこれに当たります。高崎線での各客車列車牽引風景、常磐線での急行十和田牽引等を再現。最終廃車は3号機の1959年9月。東京機関区、高崎第2機関区。

 当社EE−NBLシリーズに共通する車体形状、車体側面の正確さ,スケール通りの車巾(32.5mm)と台車,デッキ形状で最小通過半径R650通過(実際にはR680以上で走らせれば安全です)。直結SカーブR700通過。0.05mm単位で修正を加えた窓の位置やエッチングによる帯。リベットの表現等、非常にデリケートかつ力強いものとなっております。車体帯上に表現された千鳥で入るリベットパターン等2段エッチング技術も精妙にコントロールされ美しさの限りです。尚3つのVersionでリベットの有無ひとつまで作り分けを行っております。台車及び台枠は薄さと強度を兼ね備えた洋白板。ワイヤーカットによりエッジも大変シャープ。これをベースに台車には精巧に型作られた数多くのロストワックス部品を取り付け台枠も洋白板同志のハンダ組み立てによりリブ等も表現。やはりスケール通りの巾で表現した洋白製デッキと共にその下廻りは狭軌感、立体感、カチッとしたシャープさ、重厚さで今までに類例の無いものとなりました。スケール通りの車幅で垂直を保持した原型、改造後におけるデッキ・ステップ(可動式)。先台車上部におけるディテール的に全くスキを見せない、かつレールへの抜群の追随性も確保した構造など多くの新機軸が盛り込まれております。モーターは一個¥12,000級のファウルハーベル2338W大型モーターをフライホイール付で使用。軸箱可動、ステンレス車輪の使用によりカンモーターでは得られない抜群の牽引力と耐久性を実現。ヘッドライト定電圧点灯、機関車重量750g。スーパーディテールだけが喧伝される当社製品ですが実はシルエットの美しさ、プロポーションの正確さ、実感的な走行性能にこそ他の追随を許さないものがあります。

ムサシノモデル輸入電機製品他発売状況(2002年2月現在)

  △ED10 製作未定  ●ED50 近日発売   ○ED11 製作予定   ●ED51 発売中   ●ED12 現在品切中   ●ED52/18T 近日発売   ●ED13/ED17−28 発売中   △ED53 製作未定 ○ED14 製作予定     ●ED54 発売中
  ×ED15 予定なし   ○ED56/23 製作予定   ○ED16 準備中
  ●ED57 発売中   ●ED17 各タイプ発売中   ●EF50 発売中
  ●ED18U 1,2号機発売中  △EF51 製作未定
  △ED19 製作未定  ○EF52 製作予定