EF81を模型化するに当たって 2018.08.08
EF81は最初に見た雑誌の写真の印象が良く記憶に残っています。それは、デビューしたての一号機のもので前面の腰板部の大きなタイフォンカバーがそれまでの機関車にはないものでフーンと思ったものでした。正面運転席窓の左右の間隔が広く精悍な感じはなく、むしろボリューム感のある機関車だなという印象でした。EF65 1000番台と同じ1969年の登場ですぐに追って製造された一次量産機と同じく一号機も改造されタイフォンカバーもなくなりました。模型の世界ではEF80を発売した鉄道模型社が製作していれば個性的でヴィンテージな味わいの面白いものが出来たと思います。高級品となったつぼみ堂さんのEF81、若林氏の模型作りのイージーさが辟易としてきたところのしなのマイクロのEF81等まったく印象に残りません。それから幾星霜というより約40年。その後も多くのEF81のモデルが世に出ていますが私が感じ思い描いたEF66やEF65同様にEF81のイメージを大きく膨らませ恐らくこれが最後となるでしょうEF81の模型の製品化に挑んでいます。EF81の模型化上、最も重要なポイントは1にも2にもやはりボリューム感の表出です。機関車側面。車体と床下機器、台枠のディテールが一体となりその全体の重みを台車がグッと受け止め一瞬腰を落とし身構え、力が漲った様を模型の上で表したいと考えます。
その長大重厚な印象を再現できた時に前面の左右のパノラミックウィンドウの間が生きて来ます。どうしても前面に深絞りのお面のパーツを持ってくるとどら猫顔に成りがちです。隅柱のRと平面がきっちりと分けて表現され、平面同士が接して形作られるエッジが再現出来て初めてその機関車の表情をしっかりと現す事が可能となります。
元青森区の138号機、今は茨城の下館市で余生を送る。青森区のEF81は運席側のワイパーの横に洗剤を噴射するウィンドウウォッシャーのノズルが取付されている。
模型は上から見る事が多いもの、屋上機器の銀色の抵抗器カヴァーの忠実な再現はこの機関車の印象を大きく左右します。正確に形作られた抵抗器カヴァーは想像以上にボリュームがあります。16番で初めて正確に再現致しますので私達のEF81は相当ドラスティックな印象を与えると思いますが実機写真をご覧になっていただければ目から鱗が落ちることになるでしょう。
さて、ここまで大風呂敷を広げてしまいましたが、そんなに81には興味が無いと云う方にも思わず手元に置きたいと思っていただける様、もちろん81のファンの方にも大いに気に入っていただける様メーカーのATMと共に努力してまいります。
EF81の中間台車2次車以降(1次車は改造で取付)にはローラー外れ防止金具が付く事になります。台車と床下のスペースを無くす為、下の写真、西武E851ではローラーを受ける床下側の部品を上下させる事にして中間台車の横動を確保しながら隙間を無くしています。今回のEF81ではローラーを台車と分離、床板側に取付上下させる事でローラー外れ防止金具に台車が接触する事なく隙間を無くすように考えています。又台車が車体下部に接触する事もなくなります。
西武E851の中間台車。台車と床下のスペースを無くしながら台車は横動します。
京都鉄道博物館のトワイライト色EF81 103号機。JR西日本のEF81では運転席側正面窓下にウィンドウウォッシャーのノズルが取付られています。
京都でトワイライト色の81を間近に観察した時困惑してしまったのが黄色の帯の上下の色。実物誌でも模型でもこの色は銀と解説されそのように塗装されています。実際に現物を見た時に白だったので大いに困惑した訳です。プロの方に調べて頂いたところこれは夜間の道路工事のおじさんが着用している作業着の蛍光テープが貼ってあるという事でした。EF65 1124号機を製作する上で最初これは白にするべきか、銀にするべきかハムレット状態となってしまいましたが相棒になる客車が全て銀なので、悩んだ末、銀色で塗装する事にしました。実物は実際銀では無いという事です。