2009.11.7
2009韓国メーカー訪問記 その3

9月に引き続き10月も訪韓してきました。前回はSJ(先進)MODELでのOJ EF66のチェックがメインの仕事でした。

前回訪韓時、先進モデルにて

今回はやっと出来たセム1/セムフ1の最終チェック検品が主だったものです。模型化図面を持ち込んだのがもう8年も前。DANA MODELの趙 南 業 社長にとってもそれだけ難しく余り手掛けたくないプロジェクトだったのは我々でも良く理解できる程の難物モデルでした。
またアメリカやヨーロッパの市場と異なり日本では貨車の模型に余り手を掛けても理解されないのは致し方ありません。アメリカのブラスモデルのインポーターが何とも羨ましく思えてなりません。と愚痴ってみても仕方のない事・・・・・
出発の朝は台風一過、成田空港より富士山も良く見えました。

この日は進行方向左窓際の席で東京湾の海ぼたるから横浜のレインボーブリッジ、三浦半島から江ノ島、小田原、真鶴半島、熱海の初島、伊豆七島の大島、新島、三宅島と澄んだ空気の下、手に取るようです。


朝の朝食はこんな感じです。

仁川空港からサムヒュントレインまで完成したばかりの仁川大橋を渡ってのドライブ。この橋は世界で7番目の長さだそうです。

サムヒュン・トレインでEF10、先進モデルでEF66の進工状況をチェック。
いきなり夕食となりました。

この夜はいつものサンギョブサル(豚肉)で。

日本から帰国したばかりでお疲れさんのサムヒュン・トレイン 朴 社長。
10月後半、日本を訪れ、横川と大宮の鉄道博物館を見て廻りました。その際のスナップ写真。



横川にて

大宮鉄道博物館にて


DANA MODEL
翌日はDANA MODELでセム・セムフの最終チェックです。

微調整する趙 南 業 社長。
11月中の出荷予定です。

お昼はカルビタンを食しました。日本円で約¥500と云うところでしょうか。


アートホビーズ
この日は午後遅くアートホビーへ。C56の進工状況をチェック。最終組立は下廻りの動輪とロッド類がフレームに収まり、ラジアスロッド可動装置とモーター、ギヤーボックス取付直前まで進んでいました。

指紋や埃が付かないように養生がしてあります。

組立前の各セクションを見ると組み上がってからでは見えない部分の作り込みの凄さが良く解ります。

コンプレッサーのクリーナーがフレームの内側上に取り付けられているのが解ります。
モーションプレート内側にはオイルキャップがフレームセンターにはタイヤ水撒き管が見えます。

シリンダー及びフレーム前側もご覧の通りの作り込みです。

テンダー下廻りはほぼ完成。

ATS車上止を取付中でした。これらの写真を見ても売れるものから適当にとにかく早く作ってしまうと云う行き方とは正反対である事がご理解頂けます。

C59 1号機の図面を作図中のウジン氏。
その努力にはいつも頭が下がる思いです。

夜はブーリム(Boolim、富林)の張 社長とセッテOJ EF65塗色、レタリング等の打ち合わせ以来10年振りに夕食を共にしました。


翌日はインジェクションモデル(プラスチック)でDF200を作る為の打ち合わせを某社と行いました。来年6月頃の発売予定です。ムサシノモデルもいよいよプラスチック製鉄道模型を発表する事となります。

ATM社
午後はATM(アジン・トレイン・モデル)社でDD51の打ち合わせ。OJ DD51のレタリング、塗色のチェックと16番DD51での話し合いを行いました。

量産サンプルを組み立て中の金ジョンシュク氏。物静かで誠実な人柄が写真からも分かります。

OJ DD51の標記をチェック中の金 在 成(キム・ジェイソン)氏。アメリカ型ディーゼルロコにかけては韓国模型界の第一人者です。

DD51は中間台車を改良。より実感的な仕上がりとなっていました。以下下廻りの組み立て中の写真です。前回訪問時に撮ったキャブ・インテリア、ボンネットのルーバーの写真も合わせて。





ルーバーは実物のようにシースルーです。

シャープな仕上がりのラジエーターグリル。



OJ DD51の各種パーツ類。
















夜はATM社 趙 載 吉 社長とボッサム(豚肉を蒸して油を落としたもの)と豚足をごちそうになりました。



豚足です。

ボッサム

キムチを乗せたりこのように魚醤やコチジャンに漬けて食べます。


アートホビーズ

最終日は朝から再びアートホビーへ。

キャブインテリアの作り込み。床のパターンも一新しました。

バルブギヤーを組み付け中の朴さん。

シリンダー後部を見る。フレーム内側にシリンダードレインコックの可動用シリンダーとテコが見えます。

天才ウジン氏。少しお疲れモードです。

Lee-Art社
午後はC56、EF10の塗装の担当工場Lee-Art社へ。今年の春技術レベルが韓国の塗装工場で最も高いと云われるトップス社から日本型を専門に担当していた二名の技術者が独立、新しく起こした会社です。工場内は清潔そのもので埃に対する対応等見るべきところ大です。

社長の李さん。何でもイー・ビョン・ホンを主役としたテレビドラマが韓国で始まったそうでその舞台の一つが北海道の札幌でこちらの李さん、テレビドラマを見てさかんに札幌に行きてぇと連発していました。

こちら子分の李さん。二人とも李さんで
会社の名前がLee-Art。
EF10 24号機ステンレス仕様の車体の仕上げとC56の一部パーツの塗装中でした。

お面の継ぎ目もメッキ処理後においてまったく分かりません。見事な仕上です。メッキ面にクリアラッカーを吹く前に透明プライマーを吹くので塗膜強度は問題ありません。

EF10 24号機の窓、ベンチレーターの縁に入る白は全てカラス口にて色入れを行ないます。





女性作業員がいとも簡単に行なっていますがこれは難しそうです。


こちらは筆にての色入れ。ビシッとした姿勢で淡々と作業を行なっています。思わず感心してしまいます。

C56キャブ屋根のマスキングを剥がしているところ。


塗装ブースにはC56のパーツが・・・・

昼は明洞カルコクスーとマンドゥーをご馳走になりました。


いつものカルコクスー(手打ちうどん)と違い明洞カルコクスーは唐辛子が効いているのが特徴。


マンドゥーは水ギョウザのようでこれも美味い。

サムヒュン・トレイン

最後は再びサムヒュン・トレインです。
塗装も終え最終組み立てを待つ丸ボディたち。


組立中の李・ヨンホウ氏。3人の子持ちで大変です。台車への動輪組み込みと回転、歪みのチェックを同時に行ないます。

崔(チェ)さん。別に頭を剃り込んでいる訳ではありません。最終的に製品となった時ガラス板上で全動輪がピタッとガラス板に吸い付くように接していないといけませんがこれは量産品を組む上では非常に高度な技術が必要です。他ではとても真似の出来ない芸当です。ムサシノモデルと彼らとの16年の長い付き合いの賜物です。
Fin