ワム21000と燐寸箱客車 2017.08.23
戦後国鉄ワム21000 1段リンクとワム90000
ワム21000が日本最初の二重羽目構造の有蓋車として1929(昭和4)年に1000輌製造されたのは皆さまご承知の通りです。ワ22000と共通のX補強の入ったドアを持ったスタイルは模型鉄道の世界でも例えば多くのワム90000等に1輌混ぜて連結するだけで良いアクセントになる存在です。この形式、一見ワム90000とはドアだけが違うように見えます。今の時代それで事足りると云う事で良いのでしょうが、やはり昭和初期に製造された資料の少ない車輌を出来うる限りちゃんと再現してあげるのが模型メーカーのその車輌に対する愛情、あるいは良心ではないかと思います。
ワム21000とワム90000/23000ではブレーキテコのスタイルが異なります。ワム21000のフレームには多くのリベットがあるのに対しワム90000では溶接になっている。全体としてワム21000は大正期の貨車の設計の名残があります。
戦前鉄道省1段リンクタイプ
国鉄2段リンクタイプ ヨンサントウ以降のタイプ
国鉄2段リンク 票差しが車体側面にあるタイプ(店頭販売)
この車輌を作る上で結構面倒だったのがドアの票差しの戦前、戦後におけるその位置の違いでした。上の写真のように何気ない部分で見落としがちになります。しかしレタリングが入ると重要さがよく解ります。今回特定ナンバーでこの票差しがドアでなく車体側面に有るタイプを店頭販売用に少し作りました。 又今回何時ものごとく戦前鉄道省、戦後国鉄一段リンク、戦後国鉄二段リンクとそれぞれの時代設定で作り分けをおこなっています。当店では戦前鉄道省時代の機関車を数多く制作発売してまいりました。そしてその時代の機関車を作り始めた頃、模型製品として同時代、戦前昭和の貨車のモデルが製品として存在しないことに気が付きました。当時、当店で製品化した8550やED13,17に牽引させる貨車がない。そこで、これは自分たちで作るしかあるまいと相成った訳で、スローペースながらコツコツと作り続けて来ました。
例えば上の写真のように昭和30年代のローカル私鉄を想定した場合戦後古めの国鉄の貨車が必要になってきます。ワム21000では一段リンク仕様がそれに当たります。当店では22年前に初めて燐寸箱客車を製品化いたしましたが、これらの面々とこの少し古めの貨車2,3輌を並べただけで忽ちメルヘンの世界が立ち現われ来るから不思議なものです。
鹿島参宮龍ヶ崎線 ハフ11
ただ一つ残念なのはこれらに見合うスケールモデルの田舎のタンクロコが無いことでしょうか。